ソルティライムシャーベット

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グラスハート いくつかの太陽 読みました

いくつかの太陽―GLASS HEART (バーズノベルス)

いくつかの太陽―GLASS HEART (バーズノベルス)

100点です。この作品を読んだ中では60点や40点を付ける人が中にはいるかもしれない。けれども私は最初から最後までの一言一句。そう全て作品の空、海、大地、そして宇宙。全てが面白く。全てが好きで愛してる。最高に面白かったです。100点をずっと下回る事がないウルトラ大好きでした。

まず今回の前回からの続きで、テンブランクのブレインとなってる藤谷先生とオヴァクロのトーヤくんとの作った曲が被っており直接対決。対バンをする物語。なのだけれども。これの過程、アカネちゃんがいかに軸に巻き込まれるか。トーヤくんの信者であるアユミさんの行く末、彼女の重い想い。憧れ。そしてトーヤくんの出すアンサー。最後に藤谷ブラザーズが共演して、被った曲を共演する、そしてその二人の恩師?母親ともいうべき存在の作った原曲のタイトル。それを二人が固執する、そして二人それぞれの解釈。ハッキリ言って物語をなぞるだけで、感電したかのような痺れを与えてくれて。もう最高。

なのであるけれども。今回のアカネちゃんは半端なかった。この主人公はやってる事が魔性そのもの。世紀の大魔女的な魔性をやるのに魔性を感じさせない。あくまでナチュラル。あくまで自分の想いに真っ直ぐ。いやぁ凄いわ。そりゃ坂本君も鯖折り喰らったかの如く倒れるし、トーヤくんも二回目のキスをするし、藤谷先生だって求めるよ。尚くんも外野にいるかのようにみせて、短編で綴られるガキっぽさを出して温かく触れ合うよ、そりゃ。母親と話すときの女の子は抜けきらない。けれども自分の好きな自分を好きな人に対して見せる魔性。ソレは真っ直ぐであるからこそ、生まれるものかもしれない。ハッキリいって凄い。嬉しい。超楽しい。読んでて幸せ超サイコー。

甲斐さんや藤谷先生と携わってた元プロデューサー。天才と交わる事で壊される失っていく人々、天才を理解したいけれども近づく事ができない人々。今回、短編で藤谷先生の友人の漫画家のエピソードがあり、それが色濃く物語に照らされたとも。二人の天才は天才であるからこそ、触れ合わない。心を。相手の心を理解しない入り込まない。だからこそ繋がり逢えるってのがまたサイコー。そしてそんな天才二人がやってることはフツーの青春てのもまたサイコーであるし、フツーのキャンパスライフ。あれは良いエピソードかなぁと。

藤谷先生のテンブランクへの想い、アカネちゃんへの想い、坂本君への想い、尚くんへの想い。けれども大切な存在であると言うことは変わりないけれどもそこにはやはり弱さがあって。理解できない。理解されたくない、繋がりたくない。そんな中、いらだつ尚くんや繋ぎとめるために叫ぶアカネちゃんが眩しい。美しい。けれどもそれらに触れるのを。ぶつけるのを恐れるセンセーの天才。とても好きな天才を描いてるなこの物語は。

今回、新しいマネージャーゲンジさんのエピソードや過去の友人の視点から映し出される尚くんの過去。普通の蕎麦屋の長男。フツーに生きてる中で、フツー大切な人が突然いなくなる。そんな中、フツーにそんな彼の日常にとってはフツーではない喪失で変わりゆく。けれども彼はあくまでフツーなのよね。フツーに凄い。フツーに頑張ってる。短編形式で時が変わっても映し出される彼の普通さ。それがとても好き。藤谷先生とのドラマチックな再会もそれは素晴らしくなる。というわけじゃなく、フツーな日常である水面に一石投じて波紋が生まれるドラマチック。そんな描き方がとても心を揺さぶられます。

オヴァクロの二人の関係やトーヤくんの真っ直ぐさも長編、短編のの節々でしっかりと綴られていて、本当に良かった。彼の攻撃性は寧ろ弱さがちらついてるから。だから儚さみたいなモノを感じさせる。

そして藤谷先生がプロデュースをすることになる女の子二人。彼女らもどう関わって、特にアカネちゃんと藤谷先生が変化してくのか?それとも変わらないのか?期待が膨らむ。彼女ら一人とゲンジさんも評てしてたアカネちゃんのドラム、前のめり前のめりだからこそそれが魅力となりテンブランクの音楽を形作る。それは物語の中のアカネちゃんも同じで彼女がいるからこそ、このまぁなんつーか面倒くさーい登場人物達に彩りを光り輝く美しくしてくれるものなんじゃないかなと。魔性ですよ。魔性なんですよ。

青春てのはいつだって終わらないしいつだって輝けるし美しい。燻ってたって奥の奥では薄暗く輝いてる。いつかはまた輝ける。そんな物語が眩しいし、私のこころに喜びを与えてくれます。とても。とても大好きでした。