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ソルティライムシャーベット

小説とかライトノベルとか漫画とか邦楽とかの感想とか

林真理子 葡萄が目にしみる 安く酸っぱい赤ワインのデキャンタを私は飲み干せない

葡萄が目にしみる (角川文庫)

葡萄が目にしみる (角川文庫)

営業妨害になるだろうが敢えて店名は伏せるが、とあるイタリア風ファミレスにワインのデキャンタがある。すごく格安。当時、金のない私たちはそのファミレスで飲み会をよくとはいかまいまでもちらほらよりは多いくらいの程度でしていた。私はその飲み会が辛かった。何故ならそのワインはあまりに酸っぱく飲むのが辛い。ひたすら辛かったんよ。

この作品を読んでまぁタイトルからの連想されたのが一番なんだろうけれど、そのイタリア風ファミレスのやっすーいそして酸っぱい!!赤ワインを思い出した。本当に酸っぱい自意識が詰められた物語だ。

田舎。昭和。女子高生。そしてその女子高生が垢抜けなく野暮ったい少女 乃里子が主人公。またこの少女の自意識が酸っぱいたらないの。

垢抜けなく地元の女子高をただ敷いたレールの上を進むごとのように何も考えてない乃里子。自分の野暮ったさは周りからの嘲笑のネタにされる程。そんな中、同じ学校のスポーツできる男の子 岩永が地元の共学の進学校に進むことを知り、それを意識し自分が変わりたいという意思が芽生え、その進学校へ乃里子も進む。

高校に行ったら何か変われると思っていた乃里子だけれどもそう現実とは上手くいかず変われない。最初の楽しい学校生活も泡のごとく消え去っていく。強くとてもつなく顔がしわくちゃになってしまうような酸っぱい自意識を乗せて。そう乃里子の青春はとてもとても酸っぱい。変わりたいとか青春したいとかそういったものに憧れて恋をして、それが実らない。その実らない自分も青春していると酔う。だけれども初恋のアフターストーリーがこれまた酸っぱいのよ。あの心と体がちぐはぐになる感じじつに思春期やってんねぇ。って感じ。とても良いすごく良い。

また岩永に憧れの近い感情を持ってたが全然交わらない日常を送ってたのが3年のクラス変えで同じクラスになりついに交わる。岩永はラグビー部で学校一のスターになってる。けれどすぐに別れる。けれども。ココ大事。けれども!!繋がりは断絶してるわけじゃなく、お互いが実は繋がってる認め合ってると感じる自意識。から乃里子の友人のまぁ乃里子視点からの裏切り。この岩永も乃里子もそして乃里子の友人の自意識がすっごくすっごく酸っぱい!!卒業間近までもこんなに酸っぱい。乃里子は恋に恋をしようとしてラブレター書こうとしてるのもとてもつなくどうしようもなく酸っぱい。

からの時は流れラスト。大人になり社会に出てこれから上り調子の乃里子と根本は変わってない岩永との再会。からのやっぱり根っこはお互いを意識し繋がってた。そこの乃里子が溢す涙。青春の終わりだわ。

イタリア風ファミレスのやっすーいそして酸っぱいワインのデキャンタは辛い酸っぱい飲みたくない!!

けれどもそれに似たひたすら酸っぱい自意識に溢れるこの物語は私の心の痛いところを揺す振りをかけてくる間違いのない傑作でした。ありがとう!!