ソルティライムシャーベット

小説とかライトノベルとか漫画とか邦楽とかの感想とか

佐々木丸美 雪の断章 まるで雪のようだ

雪の断章 (創元推理文庫)

雪の断章 (創元推理文庫)

舞台が札幌。しっとりと降り注ぐ雪のようにミステリなのに優しい読後感に包まれて終わった。大変美しい話で面白かったです。

孤児院にいた少女 飛鳥が金持ちの本岡家に引き取られ毎日のように虐げられる。そして、たまたま雪の街で出逢った青年 裕也の所へ逃げ込み育てられる事になる。少女の半生を描いた作品。裕也とその友人である史郎やその周りの人々に愛されながら、そして様々な心の機微が流れ成長していく。また離れていても本岡家との因縁からは逃げられず。

この作品の面白かった所は、等身大という訳では無いが、主人公の少女 飛鳥が弱い人間であるからだと思う。他人を信頼できず自分の中で纏めてしまい、弱いからこそ強がる、自分だけの視点で敵と定める。そんな飛鳥だからこそ周りから裕也と史郎の二人から優しさを。そして愛へと形を変えていく。その弱い飛鳥の視点で物語が綴られるからこそ、飛鳥はもちろん、周りの人々の心の動きが歯がゆく何よりも切なく、そして暖かく感じる。

途中、ミステリ作品て事もあり殺人事件が起こるのだが、それも飛鳥の一生の一つのファクターのように、結局は飛鳥の心の動きと成長させる一つの出来事のような感じ。もちろんそれもこの作品にとっても大事な部分であるが、飛鳥の人生の切り離す事はできないが、あくまで一部分。

幼い少女が成長していき一人の女性として成長していき、それを丁寧に周りの人々の想いを交えながら。丁寧に繊細に描いた、とても面白い作品でした。まるで雪のようだ。