ソルティライムシャーベット

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灰と幻想のグリムガル 8 風呂入ってる時のようなあっつい展開と湯冷めしたかのような冷たさ

灰と幻想のグリムガル level.8 そして僕らは明日を待つ (オーバーラップ文庫)

灰と幻想のグリムガル level.8 そして僕らは明日を待つ (オーバーラップ文庫)

7巻でハルヒロ達、仲間がメインの話で絆の深さを互いに手探りながらも分かり合ってからのこの8巻のラスト。響く。銅鑼のようにか除夜の鐘ようにかともかく。響く。心に。仲間達の絆を読んでて分かるからこそ、深く深く。響く、深く。読み終わり心がテンション上がり火照るかのように高揚は維持しつつも湯冷めのような冷たさがすこし残る。そんな終わり方だった。

前回の終わりからグリムガルに無事帰還はできたものの、いきなりハルヒロ達は三組に散り散りになる。

今回は、今迄ハルヒロの心情に近い地の文で物語が進められてきたんだけど他のキャラクターにスポットを当ててる。けどハルヒロのように心の呻き叫びとはちがって、第三者の視点の割合が濃い文なのでまだ他のキャラクターの心情は分かるっちゃ分かる伝わるっちゃ伝わるけど仄めかす感じ。

ハルヒロとユメ。ユメの明るく無防備なくらいな明るさ。ハルヒロと二人になる事で少し今迄の関係に小さい変化とお互いを仲間として信頼してるのが分かる。今回の短い2人の時間が今後どう物語に影響するのか、とても気になる。

クザクとシホル。パーティの仲じゃ接点が比較的少ない組み合わせ。よそよそしさも残りつつも他の仲間達と変わらない大切に想う気持ちとリーダーであるハルヒロへの信頼と心配。特にシホルのハルヒロの心情を心配しつつ支えになりたい気持ちが、後半のハルヒロとシホルの無言で通じ合うやり取りに繋がる。これまた自分の心のドアを叩いて叩いて壊されちゃうってもんですよ。銅鑼なら叩いて音を奏でるもんだから多分壊れないんだろうなあとも思っちゃう。だって鉄だし、壊れないでしょ?簡単に。アレ。

ランタとメリイ。もうこれはどう考えてもうまくいかないでしょうな組み合わせが案の定うまくいかなく、今回の展開でいうと敵っぽい集団に囚われ、こらまたピンチ。メリイ本当にピンチ。ランタも土下座やら何やらで情けなさみたいなもんも出してはいるけど、根底にある仲間をメリイを救いたいって気持ちで不器用な本当に不器用な裏切るという行為で窮地を脱しようとする。どんだけ損なんだよ、本当にランタってキャラクターは。2巻の仲間と逸れるときのランタの心情の吐露に近い地の文が思い出されたよ。そんな不器用な人間だからこそ、普段はガサツさ不器用さで隠されてる人間だからこそ、仲間を大切に想ってる言葉を吐き出した時の呟きが心の銅鑼が止まらないってもんなんよ。ドラドラドラドラとクレイジーダイヤモンドがいくら修復しても仕切れんよ。後、囚われて絶望に沈むメリイが仲間達の事を想う時にハルヒロへの想いやりとか大切に想う気持ちも細やかながら出してきてるけど、こっちとしちゃけっこうクルものあるからね。そして何のかんのランタへの信頼する気持ちも本当に冒険でともに旅する仲間への信頼を感じちゃうってもんよ。

ランタの裏切りと囚われたメリイ。戸惑うハルヒロ達四人。ランタの行動に愕然としつつも今迄の絆の深さでその事態を受け止める事ができない仲間たち。ランタを裏切ったとわりきれない。メリイを救うために戸惑いをみせず自己犠牲を厭わないハルヒロ。ランタへの失望とメリイを救いたいとガムシャラになるクザク。そして何よりもメリイを救える目前になって今迄はリーダーとして心を必死に抑えてたのに溢れ出る漏れ出るハルヒロのメリイへの愛情の一文はとっても最高ですわ。

そしてボタンのかけ違いのようにハルヒロ達とランタ。ランタと対峙しランタが仲間じゃなくなる事に心喪失するハルヒロ。

まだまだよグリムガルは。まだまだこんなに最高な物語は終わってほしくない。