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ソルティライムシャーベット

小説とかライトノベルとか漫画とか邦楽とかの感想とか

遠田潤子 蓮の数式 読みました

☆☆☆☆☆ 中央公論社

蓮の数式

蓮の数式

たまたま本屋でフラッとまわってる時に目について、何となく買った作品。なのだけれど、これはとても面白いです。やはり自分は電子書籍も使うけど、書店で紙の本は買い続けるな。そうだとこの作品は取りこぼしてたと思う。けど、多分この作品はヒットするのでは?と信じられる信じたい面白さだった。繰り返すけど、とても面白いです。最後のページまで辿り着いた時は、自分の読んだ本の中では吉田修一の悪人に近いものを感じずにいられなかった。不器用で自分を表現する事が出来なかった男が女を愛し、そして報われない。悲しい物語なのにどこが暗闇の中で一つの蝋燭が灯るような希望を感じた。全体的に悲しい物語の中での希望。とても面白いです。その小さな希望が、とても良いです。とても好きなんです。

自分が子供を産めない身体という事で義母や夫から人間として扱われない女 千穂。唯一の救いは、自分がやっている算盤塾。

千穂の夫が車で弾き、千穂を身代わりにトンズラかました。その弾いた相手が高山透という男。透は数字に弱い障害を持ち、千穂が算盤を教える事で二人の関係に繋がりが生まれる。

そんな歪で不良品と呼ばれた二人が出会う。

最初は、そんな二人が心通わせ不良品でないと必死に人生をもがく話なのかなぁと思ったら、あれよあれよと逃避行の物語となり、その時の千穂の限界さやらなんやらとても読んでて面白いです。ついに限界値まで達した人間。

さらに逃避行に加え、あるおっさんが偶然テレビで透を見かけ、おっさんの過去の中で重要な人物である大西麗の面影を見つけ、麗を探し求める。

千穂と透の逃避行とさらにそれを追いかけるものの過去と現在、そして果たして高山透なのか?大西麗なのか?といった物語の謎が明かされる度にぐいぐいと引っ張られ目が離せませんでした。登場人物もみんなどこか歪みがあり、そんな人間が交わる物語に夢中にやった。

上記でも書いたが悲しい物語の中に小さな希望を残して物語が終わる。とても心が揺さぶられました。とても面白いです。